「高岡やぶなみ駅」の本格開業を目前に控え、直近の生活圏に鉄道駅が出来るというのは、そうそうある事ではなく、周辺開発や利便性の向上に期待が膨らむ一方であります。
さて、この高岡やぶなみ駅ですが、駅名はアンケートの結果により決まりました。この耳馴れない「やぶなみ」という地名は万葉集大伴家持卿の「やぶなみの里に宿借り春雨にこもりつつむと妹に告げつや」歌に由来します。
しかし、このやぶなみの里がどこなのか諸説あって、実は定まっていません。延喜式内社神名帳に記されている荊波(やぶなみ)神社の所在地と見るのが定見となっているようですが、県内に荊波神社は 5 社あってそのうち3 社が式内社を名乗っているらしいのです。その一つが「高岡やぶなみ駅」近くにある荊波神社であります。「そこは、やぶなみ神社ではなくてうばら神社やぞ。」との声もありますが、荊波と書いて「ウバラ」「イハラ」とカナの振ってある文献もあり、本来「ヤブナミ」であった呼称がのちに「ウバラ」と変化したとする説が有力視されています。3 社のうち、実は砺波市池原にある荊波神社が最も有力とされているのですが、高岡市史によると和田の荊波神社も由緒の古い大社であり充分に条件を備えているとしていて嬉しくなってきます。
こう考えると、いろいろと説がある事でかえって興味がかき立てられ、これはこれで良かったのではないでしょうか。
蛇足ですが小矢部市にある薮波の地名は、明治 22 年の新設村名であって、万葉集に言う「やぶなみの里」とは直接関係がないというのが大方の見方です。
いずれにせよ「高岡やぶなみ駅」が長く皆様に愛され使われる駅となる事を願っています。